五輪開幕式

はじまりましたなあ、五輪。

日本とかでは、チベット問題が五月蠅かった頃、同僚にも何人か本当に開催できるのか?って真顔で聞いてくる人が居たりして、そりゃ全然問題ないでしょう、って答えていたモノです。近頃も、地震やテロで五輪に衝撃とか言ってたけど、首都からあれだけ離れた所で起きても、別に大したことないって。なんつーか、西表島で起きた地震で東京が危ない、って騒いでるようなモンですよ。

つーことで、案の定、五輪は無事開幕したわけです。しかしまあ、中国国家美学の集大成であるところのこの開幕式、いろいろと面白かったですなあ。
簡単に言うと、ここ五年くらいの中国流行主流文化の集大成みたいな感じでしたな。

世界遺産申請ブームを踏まえて、古琴に崑曲、文化保守化と孔子祭祀公式化を踏まえて孔子、2004年頃の鄭和ブームを踏まえて鄭和、ここ二・三年の中国独自イノベーション重視を踏まえて発明、最後はみんな仲良く和諧社会、とまーこんな具合。

一方、中国脅威論に結びつきかねない要素を極力排除して、ソフトな文化イメージを押し出してましたな。火薬は花火くらい、万里の長城は象徴的にちょっと出るだけ、太極拳はやるけど激しいカンフーは無し、兵馬俑も無かった、と。

それをプロデュースするのが、すっかり国家主流文化体制に招安されてしまった張芸謀、作曲はオリエンタリズムで受けてる譚盾ですからなあ。演出は、いやー、「HERO」に始まるオリエンタリズムな商業主義中国国産大作映画路線、そのものでもありましたなあ。ワイヤーワークとか、たこ揚げとかもねえ。譚盾の音楽は、あいかわらず、雰囲気をよく盛り上げるけど印象に残るメロディーに乏しいし。郎朗も出てたからねえ、中国の欧米で評価されてるアーティスト三人そろい踏みだったわけですな。

また、会場内に入ってからのこまぎれの聖火リレーは、現在の中国の集団指導的体制を写してるようにも見えます。一人に決められないのねえ。最後の李寧もねえ、ロス五輪の金よりも、その後、ナイキライクなロゴの李寧ブランドを立ち上げて成功したビジネスマンであるわけで、その意味では三つの代表的人選でしたなあ。って、谷村新司、そもそも李寧を知らなかったねえ。うーむ。

そして、締めくくりは、北京中軸線を北上する花火。北京を東西に分割してきた故宮から前門にかけての封建権力建築群の土手っ腹に風穴を開けた反封建の象徴であるところの長安街東西軸から、封建北京の象徴たる中軸線へ、中華人民共和国のイデオロギーのあり方が変化したことを如実に物語る演出でした。

全体に、中国の文化・社会の保守化と伝統回帰、商業主義とオリエンタリズムなどなどを、絢爛豪華で大がかりなセットの中に内包した、見た目の秀麗さの割りに陳腐で空疎な感じがぬぐえない、そんな開会式だなあ、と感じました、はい。

まー、二〇世紀的社会主義マスゲームの締めくくりを飾る、すばらしいショーだったのではないでしょうか。
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