古典パロディ問題と某エロゲと
まず、前の記事に引いた吉林のニュースですが、元記事の人民日報記事を見つけました。これですね。
で、前の記事と附記は、余り調べずに出がけにばーっと書いたもので、事実関係の把握が甘かったので、時系列にまとめておきます。
- ネットの悪質パロディー氾濫を防止する専門家座談会・光明日報記事:8/10
- エロゲ《红楼馆奴隶》の大手メディア初出:法政日報11/13付け記事
- (たぶん)フジサンケイ元ネタの人民日報記事:12/5
よーするに、人民日報で、8月の座談会記事と、その後のエロゲ報道をくっつけて、12/5に新たに記事にしたってことなんじゃないかな。そうして見ると、なるほど、12/5の人民日報記事には、特に発言の日付やら取材経緯が書いていないんだよね。んで、古典パロディ批判座談会での法的規制云々は、そもそも8月の事件ですから、もしかすると大陸でのフジ西遊記放映前??
フジサンケイは、たぶん、12月頭に人民日報に記事が出たので、最近の動きだと思って、記事にしちゃったんでしょう。で、日本の中国に対するステレオタイプな見方にすりより、また、自分の西遊記ドラマのデキの悪さは棚に上げて、カルチャーギャップの責任にしているという……。自意識過剰でもあるね。
ともあれ、中国のニュースは、引用・転載・再利用関係が複雑なので、チャンと事前に調べておかないと、いろいろと落とし穴がある、って教訓ですな。しかも、転載の過程で錯誤が発生したり、誤字が定着したり、伝言ゲームになるからねえ。いや、某『カルチャーレビュー』の翻訳で、記事の裏取りを死ぬほどやってるので、骨身にしみているのです(涙)。
もっとも、これが中国におけるネット言論統制強化の一環であるのは確かです。日本にもよくある、公衆の怒りを煽りやすい事例でキャンペーンを張って、その結果の法整備で、政府に反抗的な言論を統制してしまうという手法。だから、この場合はパロディはむしろネタ、ターゲットは、政府機関の検閲を経ずにネットに発表されてしまうオリジナルDV(デジタルビデオ)作品にある、と見ていいでしょう(確か、瞭望東方かなにかにそんな記事が載ってたような。ネットフラッシュ規制で、部門の縄張り争いが起きてるとか)。2004年の反ポルノ・違法サイトキャンペーンが、結局は政府に批判的な言論を掲載するサイトつぶしに利用されたのと同じことです。
しかしまあ、現状批判のパロディ的要素も盛り込まれたギャグ小説であるところの西遊記まで、パロディ禁止ってのは、ホント、本末転倒。でもねえ、その一方で、日本製パロディマンガのドラゴンボールや最遊記の批判記事は別に見ないんだよね。よーするに、フジのドラマがつまらなかったから、近頃メディアによく見られる悪質パロディー批判と反日という文脈に乗っかって、みんなが批判記事を書いてる、ってことに過ぎないと思うんだけどね(笑)。ドラマがおもしろければ、黙らせることができたんですよ。
ただ、西遊記は、沙悟浄がカッパか否かなんていう、かなり大きなギャップが江戸時代以降既に両国の間に存在・定着しているのは確かなワケで、中国人と日本人とで作品のイメージにそもそもズレがあるだけに、どっちにせよ難しかったと思うけど。ま、アレを中国でも放映って聞いたときにわかってる人はみな頭を抱えたけど、その辺のわかる人材がフジに居ないってことですな。
んで、この、古典名作のイメージ保全問題ってのは、実は歴史認識問題解結が歴史学的検討ではいかんともしがたい、ってことを如実に物語っているんですけどね。ま、自民党の方々には理解できないでしょうけど。




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